あの日、言いたかったこと。

「でも……コウ君は二人のことが大好きだったからっ……。
すごく優しい人だったからっ……。
それにあたしっ……もしコウ君が生きてても、ヒナ君とユウ君が死んじゃったらっ……そんなの嫌だしっ……」


杏の目から溢れ出す……大粒の涙。

それが今までの杏の思いを……全部表しているようだった。


「そう思ったら……何でって思った自分がすごく酷く思えてっ……あんなこと考えてた自分が嫌でっ……。
誰かに分かってもらいたいって……そう思ってたけどっ……」


……あの事故のあと、俺達は杏を避けていた。

杏の気持ちをか分かってあげられたはずの俺達は……杏を遠ざけた。

そしてそのまま……杏は本当に遠くに行ってしまった。


「っ……ごめん……」


今の俺には……そう言うことしかできなかった。


……杏は小さく首を横に振った。


「ヒナ君達は悪くない……。
悪くないのにっ……あの時、あたしっ……ずっとヒナ君とユウ君のこと……心の中で責めてたっ……」


顔を手で覆って嗚咽を漏らしながら泣き続ける杏……。

何もできない自分が……すごく無力に感じた。

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