あの日、言いたかったこと。

「……分かってるよ。
これ以上想ったって……どうにならないことぐらい。
自分が辛くなるだけだって……っそんなの……分かってるけどっ……」


杏……。


「っ忘れられないの……。
コウ君のことが……コウ君の笑顔も……優しさも……っ全部……!」


光輝のことを忘れられずに苦しんでいたのは……俺達だけじゃなかった。

こんなに泣くほど苦しんでいる人が……今、目の前にいる……。


「杏……」

「っ正直……コウ君がヒナ君とユウ君を助けて轢かれたって聞いた時、最低だけど……何でって思った……」


っ……………。


「だって、あの時……コウ君、二人にずっと避けられてたから……っ……それなのに何でって……」


……俺も悠斗も何も言うことができなかった。
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