ソットボーチェ~あなたの声で~
10時開店だが、朝の掃除があるために9時には行かなくてはいけない。

毎月ノルマがあって、それがストレスになって辞める子もいる。

わたしも、ノルマはキライだ。

けれど、そんなこと気にしたって売れない時は売れない。

だから、気にしないようにした。

クビにしたけりゃ、すればいい。

別にこの仕事が好きで、働いてるわけじゃないんだ。

「おはようございます」
「あ、萌花ちゃん。おはよう!」

職場に着けば、すでに華(はな)さんがいた。

華さんは、わたしより3つ上のお姉さん。

笑顔がステキで、わたしより1ヶ月前くらいに入っていて、華さんにはたくさん教えてもらった。

「萌花ちゃん、一緒に頑張ろう!」って、わたしが挫けそうな時も励ましてくれて。

他の人たちも、みんな優しいけど年が近いのは華さんだけだから。

適当に掃除を済ませ、開店準備に急ぐ。

そして、開店。

だけど、客は誰も来ない。

「今日も、暇ですね」
「そうだねぇ」

平日は、ほとんど客は来ない。

そのために、わたしたちの時間はとてつもなく長い。
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