社内恋愛のススメ



「長友くん。」

「ん?何だよ。」

「もう大丈夫だから、気を遣わないでよ………。」


長友くんだって、暇じゃない。

仕事で疲れている上に、私の看病までさせるなんて。


さすがの私でも、気が引ける。


申し訳なくて、何度も長友くんにそう言ったのだけれど、長友くんは決まってこう返すんだ。



「いいって、別に。」

「でも………。」

「暇潰しに来てるだけだから、気にすんなって!」


何度、その言葉に救われただろうか。



誰だって、弱っている時は気まで弱くなるものだ。


1人暮らしの私は、頼れる人も近くにはいない。



私だって、寂しいと感じる。

誰かに頼りたいと、そう思ってしまう瞬間がある。


長友くんは、そんな私の気持ちに気が付いていたのだろうか。

私の心を読み取っていてくれたのだろうか。



熱が下がるまで、ずっと傍にいてくれた。

弱った私の隣で、たくさんバカな話をしてくれたんだ。



普段は、女扱いなんてしてくれない。

周りの男と同じ扱いをされるし、言葉遣いだって悪い。


でも、長友くんが作るこの空間は、とても心地いい。


すごく自然で、ずっと浸かっていたくなる。



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