社内恋愛のススメ
だから、そんな言葉を言わないで。
お願いだから、そんなことを言わないで。
私達の関係は、もう終わった。
どんなに好きでも、好きだったとしても、私達の関係はもう動かない。
動いてはいけない。
変わらないんだ。
上司と部下。
それだけだ。
それ以上、言わないで。
短い時間に築いた記憶を、汚さないで。
楽しかった思い出まで、奪わないで。
「文香とのことは謝る。いつか、いつかきっと………別れるから。結婚なんてしないから。」
上条さんが語る未来は、曖昧。
滲んだ絵の具みたい。
いつか。
いつかって、いつなのだろう。
そんな未来、訪れる?
私が待っていれば、望む未来は訪れる?
そんなの、分からない。
上条さんと、ともに歩む道。
その道を歩く代償は、私には大き過ぎる。
「いつかって、いつですか?」
「そ、れは………」
「どうして、はっきり言えないんですか………。」
思いのままを、上条さんに対してぶつける。
そんな私に、上条さんが一瞬だけたじろぐ。
初めてだから。
上条さんの前で、こんなに感情的になることはなかった。
だから、驚いているのだろう。
自然に溜まり始める涙。
溢れんばかりの粒は、今にも零れ落ちそうだ。
どうして、泣きそうになっているのか。
自分でも、よく分からない。