16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
違う、そう言いたいのに。

まるで、喉の奥が凍り付いたみたいに言葉が出ない。



「……元気そうだし、俺帰るわ」



呼び止めて、否定すべきなんだと思う。

違うの、私が好きなのは名良橋君なの、と。

だけどそれは、私には出来ないことで。

踵を返して扉の向こうに消えてしまった名良橋君の姿を、私はただぼうっと探していた。



「早坂さん!追えよ!行っちまうぞ!」

「……行けないよ……」



掠れた声で呟くと、高野君は何かに耐えかねたように声を荒げた。



「いい加減にしろよ早坂さん!自分ばっか傷つく道選んでんじゃねぇよ……」



まるで自分のことのように、高野君は言うんだね。



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