16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
黙ったままの私の顔をみんなが覗き込む。

……言うんだ、今。



「……あのね、私――」

「やべ、昼飯忘れた。購買行くけど、誰か行く?」



私の言葉を遮ったのは、名良橋君だった。

ガタガタと音をたて、椅子から立ち上がる。

みんなの視線は名良橋君に向かい、完全にタイミングを逃してしまった。



「あれ、名良橋さっき弁当持ってなかった?」

「幻覚幻覚。んじゃ行ってくる」

「あ、ココア買ってきて」

「じゃあ苺みるくパンも」

「ざけんな、自分で買え」



名良橋君はあっという間に教室を出て行ってしまう。

その後を高野君が追いかけていく。



「何、アイツ。いきなり出て行っちゃってさ」

「まー、気にしなくていんじゃん?食べよ食べよ」



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