16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
その場に残ったみんながお弁当に手をつけ始めても、私は名良橋君のことが気掛かりで仕方なかった。

名良橋君、どうしたんだろ。

それに、高野君まで……。

嫌な胸騒ぎがして、私は勢いよく立ち上がった。



「……ごめん、私も行ってくる!」



返事を待たず、教室を飛び出した。

駄目ってわかってるけど、今走って名良橋君を探さなきゃきっと後悔する。

今までに過ごしてきた時間を、全て嘘にしたくないよ――……。





人を掻き分け、前へと進む。

名良橋君達の姿を見つけたのは、購買とは別方向の校舎裏だった。

物陰に隠れ様子を伺っていると、2人の会話が聞こえてきた。



「……何逃げてんだよ」

「逃げてねぇよ」

「逃げてんじゃん。わかってたんだろ、早坂さんが大事な話しようとしてたこと」

「……」



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