アウト オブ ザ ブルー

「ごめん…、私これで帰るから、ストーブと鍵、頼んでもいいかな…?」


震える右手でキーチに鍵を差し出すと、彼は急に子どもっぽい笑顔を見せた。


「なあ、ミッチは宝くじ買った?」




「え…?」




あまりにも唐突な質問だった。


なぜそんなことを聞かれるのかわからずにいると、彼は「なんだ、買ってないのか」と言った。



宝くじに何かあるのと聞き返すと、キーチは私から鍵を受け取りながら答えた。


「あれ…、ミッチ知らないかな。昔から、妊娠中は金運がつくって言われてるんだよ…。迷信かもしんないけど、妊婦が宝くじを買うと当たる可能性も高いみたいでさ、深雪なんかもう年末ジャンボ買いまくってて…。せっかくだからミッチもこのチャンスをいかしたらどうかって思ったんだけど…、あんま興味ないか」





ドキッとした。




まるで私が妊娠していることを知っているような言い方だった。




もしかして、キーチは私の妊娠を知っているのだろうか…。
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