アウト オブ ザ ブルー
心の準備が間に合わず、どうしようかとあせった。
「あ…、キーチ?」
とりあえず、電話機越しに彼の存在を確認する。
〈おー、ミッチ。久しぶり。元気だった?〉
その声の調子から、いつもと変わらぬキーチの様子がうかがえた。
「……」
〈ん…?どうした?〉
「…あのね、キーチ、私、キーチに話があるんだ…。できれば会って話したいんだけど…」
〈そっか。…それなら悪いけど、明日研究室に顔出してくれる?〉
私と最後に会った日のことなんて、すでに忘れているような口ぶりだった。
「あ…、できたら学校じゃないところで会いたいんだけど…」
〈何?…あんま人に聞かれたくない相談とか?〉
「うん…。だからその…、時間、作ってもらえるかな…?」
〈…オーケー。じゃあ…、明日の…昼でもいいか?〉
「うん…」
〈よし、俺、明日は午後あいてるから昼メシどっか一緒に食いに行こう。…そうだな、12時半頃職員駐車場に来れる?〉
「…わかった」
〈じゃあ明日な〉
「うん…、おやすみ」
〈おやすみ〉