アウト オブ ザ ブルー
 
服装のせいか、社会人になったせいか、久々に会うマサはなんだか急に大人になったように見えた。



日に焼けた肌が彼をたくましく見せてくれたが、以前より少しやせたようにも思える。



左手の薬指には、真新しい結婚指輪が光っていた。


それを見て改めて居心地の悪さを感じてしまったけれど、蕎麦をすすりながらとりあえずたわいのない会話をした。




「どう…?仕事は…」


「んー、やっぱ大変だね。まあ、どんな仕事にせよ、働くって大変だよ」


「でも、マサはやりたかった仕事をやれてるわけだから、楽しいでしょ?」


マサは首をかしげた後、そうかなと笑った。


「採用試験の勉強は?はかどってる?」


すると彼は箸を持つ手を止め、顔をしかめた。


「うーん、はっきり言って全然やれてない。帰ってくるのは毎日9時過ぎだし、帰宅後は教材研究とか、授業のプリント作りとか、テストの採点とかしなきゃなんないし…、ホント、自分の勉強なんてやってる暇ないよ」
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