アウト オブ ザ ブルー

何も知らないみんなは「おめでとう」と言っていたが、私はいろんな事情を知ってるだけに、かなり複雑な思いだった。



私とキーチが今に至ったのも、もとはといえば彼女の一連の行為が原因なのではないかという気さえしてきた。




病院で見たキーチの顔が頭から離れず、あれから自分もしばし胸を痛めていたのだが、


「これから始まる生活を思うと、どんな雨だって凌いでいけそうです」と笑った深雪ちゃんに、私は何も言うことができなかった。








その夏。


コージさんが帰国し、深雪ちゃんが引っ越して行った後も、私は変わらず母子寮での生活を続けていた。



再度切られたお腹の傷は、やはり時々痛んでいた。


それでも今回は看護師に貼るよう言われたテープを3ヶ月間きっちり傷の上に貼っていたので、


心なしか見た目も痛みもそれほど気にならなくなっていた。
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