秘密の2人

病院


佐渡邸がある住宅街から車で15分の所に、地域密着型の総合病院がある。



蒼空の父も通院している病院は、近隣に住む人も多く通院する評判のいい病院である。



しかし、評判が良くても相性が合うかはわからない。


どんよりした気分で、蒼空は母親が運転する車に乗って病院に向かっていた。



〔今日は小テストあったのにな…〕



蒼空は車の窓から、通り過ぎる景色を眺めた。



〔今回は駒居君が単独トップだろうなぁ…〕



小テストの時は、いつも蒼空と優羽がトップになることがほとんどなのだ。



〔悔しいなぁ…〕



体調が悪くても、勉強とライバルの事を考えている自分にふと気付いた。



〔ダメだ…。今日は身体も心も勉強から解放しよう。〕



最近の体調不良の原因は『勉強による睡眠不足』だろうと、蒼空は思っていた。



蒼空から勉強を取り上げると、何の取り柄も無くなると本人は思っているが、今日だけだと自分に言い聞かせていた。



病院を受診したことによって、蒼空の人生が大きく変わるとは、この時は思ってもいなかった。
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