キミの背中。~届け、ラスト一球~
喧嘩なんて今までに腐るほどしてきたのに、一週間も口をきいてないのは初めて。
考えてみれば、今までの喧嘩はただの口げんかだ。
言い合ってるうちにおかしくなって、どちらかが先に笑いだして終了って感じだった。
それなのに……。
草太からも口をきいて来ないってことは、今回は本気で怒ってる。
でも、どうして?
言えない理由って言ってたけど、こうやって仲直りが出来ないままでも、その理由を言うつもりはないってこと?
「ねぇ、希歩」
あたしは唇を噛みしめて、目の前に座るミナを上目づかいで見る。
「希歩がイヤな思いすると思って今まで言わなかったけどさ」
「………」
「そうやってかたくなに湯野くんを避けてるから、湯野くんも避け続けてるんじゃないの?」
ミナが眉をハの字に垂らす。
「喧嘩の原因、兄さんの進学のことでなんだよね?」
あたしは小さくコクンと頷く。
「湯野くんは、言えない理由があるって言ったんでしょ?」