キミの背中。~届け、ラスト一球~


あ!あれだ!!


あれに陵雅さんが乗ってるんだ。


あたし達は、まだ電車が到達していないのに、声の限りに叫ぶ。


「陵雅さ~ん!!!!」


声が割れる。


「兄さ~ん!!!!」


さすが野球部。


普段から声を出しているみんなの声は、遠くまで響いた。


電車が徐々に近づいてくる。


あたし達からは陵雅さんがどの車両に座っているのかわからないけど、いつ陵雅さんが見ていてもいいように、電車の通り過ぎる数秒間、必死で体を使ってメッセージを伝えた。


あたし達の持つ横断幕には『がんばれ 兄さん!』。


部員のもつ旗には『いつまでも待ってます!』と『行ってらっしゃい』の文字。


そして、陵雅さんの大好きな野球の関連の絵を描いた。


「陵雅さ~ん!!行ってらっしゃ~い!!」


声が裏返った。


それでも叫ぶ。


電車の騒音で、あたし達の声がどこまで届いているのかはわからないけど、みんなで顔を歪め出せるだけの力を振り絞って叫んだ。


見えたかな……。



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