くすんだ空を見上げれば

八時に外へ出ると神谷が丁度来た。


「おはよ♪」

今まで何回も会っているのに
その時なかった 会える喜び を今は感じる。



「おはよう…
急にごめんね…」

笑顔を向けられると恥ずかしくなって俯いてしまう。


「神谷悪いな!宜しく!」
紅葉が顔を出した。


「おう、じゃーな!」

ヘルメットを渡され、かぶろうとしたら紅葉に何かを投げつけられた。


「ヒャッ」
咄嗟に受け取る。


「それ履いてから乗れ」

手元を見ると紅葉の半ズボンだった。


「えっ!?」

「パンツ見えんだろ!!」


「なっっ」

そんなストレートに言わなくても!!

しかも神谷の前で!


顔が熱い。きっと今私は真っ赤になってる。



時間もないから赤面しながらも急いで履いてバイクに跨がった。



紅葉は赤面した私を見て「ククッ」と我慢しながらも笑っていた。



神谷は「家で渡せば良かっただろ!」と言いながらエンジンをかけた。


「掴まって」
そう言ってバイクを走らせた。


風が涼しくてなんとか顔の熱も治まった。



きっと私が急いでたからズボンを渡すタイミングがなかったのかもしれない。



それでも恥ずかしい思いをしたのは変わらない。



明日の朝は紅葉の嫌いなピーマンをビッチリ敷き詰めたサラダを作ろう。

もちろんピーマンサラダなんて今まで聞いた事ないが。



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