帰っておいで
最近のお父さんは、酔うと無口になります。
棚に飾ってある家族写真をただぼんやり見て、お酒をすすります。
きっと、貴方の事を口にしてしまうと会いたくなるからでしょう。
お母さんは、そんなお父さんを見てそう思っています。
お祖母ちゃんは、杖を突き日課の散歩をしながら小さな子供を見ては、美希の小さい頃に似ているとつぶやきます。
けれど、お父さんと同じように、会いたい、とは言いません。
便りがないのは元気な証拠だから。とまるで自分に言い聞かせるようにしています。
あなたも、社会人です。
親の私たちが、何か言うのも煩わしいでしょう。
何か言ったところで、簡単にどうこう出来るような立場の仕事ではないとも思っています。
けれど、
ちゃんと食事はしていますか?
一人で寂しくしてはいないですか?
病気で寝込んだりしていないですか?
どうしても心配になってしまいます。
これは、いくつになろうとも親の考えることです。
あなたがどんなに社会人として立派に成長していたとしても。
いくつになったとしても。
私たちの大事な子供に、かわりはないのですから。
何もなくてもいいのよ。
その街に疲れたら。
いつでも、帰っておいでね。