密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 少女の頃に想いを綴った、らくがき帳。

 久しぶりに帰った実家で見つけた。

 私は四年前、就職の為に上京した。でも私の部屋は上京前となにひとつ変わっていない。母が、掃除をして、なにひとつ変わらぬように残してくれているのだ。

 その部屋に置かれた机の引き出しの中。そこに藁半紙のらくがき帳が眠っていた。

 少女の頃は大袈裟だったな。恋をして苦しくて息ができなくなりそうとか、失恋してもう死にたいとか。些細な事でも躓いて、悩んで。
 



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