密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
溌剌としている私を見て、亮の雰囲気が変わった。
帰りが早くなり、私が残業をした日は夕食を作って待っていてくれた。
黒焦げの卵焼きに、生焼けの鮭。高血圧になりそうなお味噌汁。具はワカメだけ。それが笑っちゃうくらい不味くて、心底嬉しかった。
「なあ、真理、今後料理教えてくれよ」
「うん」
数ヶ月前までは亮と会話すら成り立っていなかったのに。
嬉しくて泣きそうになったけど、ちょっぴり恥ずかしくてバスルームで髪を洗いながら泣いた。
シャンプーの甘い香りと泡がその涙をふわふわと包み込んだ。