密と蜜～命と共に滴り堕ちる大人の恋～
　今日は日曜日。

　時間をかけてカレーを作る。じゃがいもの皮を剥いて、人参の皮を剥いて、玉ねぎの皮を剥いて。

　こうやってひとつひとつを愛しながら作るカレー。私と亮はこの家で何十年先も一緒に暮らしていく。

　カレーを温め直すように、一度冷めたらまた温めればいい。それはそれでまたおいしくなるんだから。

　そんな事をふと思った。世知辛い世の中だってカレーに風味を増すための香辛料。　

　この家で二人で食べる夕ご飯。

　自家製の福神漬けをカレーの横に添える。


「やっぱり、真理の作るカレーはうまいな。最近、感謝っていう言葉を忘れてた。ごめんな」

「ううん。私が難しく考え過ぎてたの。ごめんなさい」


　そう。難しく考え過ぎていた。カレーのようにひとつひとつを愛しながら、冷えたらまた温めて、それでいいんだ。



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