密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 星を見上げながら、時々、コーヒーを飲み、誘われるように入ってきた氷の粒を口の中で転がす。

「あっ、流れ星!!」

「えっ、どこ?」

「そこ、ってもう見えないよ」

「私、見逃した……。なにか願い事した?」

「しなかった。願いなんて自分の力で叶えるもんだろ。なんてな」

 やっと少し気持ちが落ち着いてきた私はいつの間にか龍平の事をその男性に話していた。


「置いてっちゃえば、ここに」

「えっ?」

「その彼氏、ここに置いてっちゃえよ。免許あるなら自分の力でなんとかして帰るだろ。君は僕が車で送るから」

 その言葉と同時に右腕を優しく掴まれた。

「たまには助手席に乗ればいいよ」

「……うん」


 マーガレットという私と龍平の良き時代はもう消えたんだ……。



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