リベレイターズ
「ええ、そうよ。あなたたちもそうだったのね」

女性は、そう答えた。

まさか、この人もβテストプレイヤーだなんて。

女性は、帽子を深々とかぶっている為、顔はよく見えない。

肩までかかった長い黒髪と、赤いジャケットが特徴的な女性だ。

「なに?」

女性をじっと見つめすぎていたらしい。

僕は、慌ててかぶりを振った。

「あ、い、いえ。なんでも………」

すると、エレベーターが止まり、二十五階へとたどり着く。

僕たちは、揃って中から降りていった。

「あ、俺は角人守(つのりまもる)。一応、渋谷のとある学園にいる高校生って言えば、わかる?」

「うん。僕は九頭木零(くずきれい)。よろしくね」

「おう! えっと、お姉さんのお名前は?」

「山田卯月(やまだうづき)。よろしく。職業は、一応学生だけど」

「おお! 女学生さんッスか! おっとな!」


「女? ああ、一応”学生”よ」


なぜだか、守は興奮している様子である。

まあ、目の前の大人な女性が一緒にテストプレイをするのだから。

思春期真っ盛りの高校男子にとっては興奮せざるを得ない状況だろうけど。

しかし、卯月さんはどことなく困惑した表情だった。

なぜだろう?

その疑問はすぐに解消されることになる。



「あ、アニキやっと来た!」
 


ると、ラボの受付前に備え付けてあるソファに、女の子が座っていた。


この子もテストプレイヤーだろうか。
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