リベレイターズ
卯月さんが、夕姫と呼ばれた女の子に声をかけた。

「もう! アニキったら、すぐにどっかいなくなっちゃうんだから! 受付、まだ開いてないし暇すぎだよ!」

夕姫の言葉から察するに、まだ受付は始まっていないらしい。

どうやら、この子が一番乗りにここへと到着したようだ。

「ごめんね。昼過ぎにバイトだったから。先に出て行かせてもらっちゃった」

卯月さんは、夕姫に対して申し訳なさそうに、パンと両手を合わせながら謝罪する。

反対に、夕姫は腕を組みながら仁王立ちし、不満そうな表情を浮かべていた。

察するに、二人は姉妹なのだろうか。

「えっと、お二人は知り合い?」

守が、卯月さんにそう尋ねると、彼女はこくんと頷いた。

「こいつは、私の妹の夕姫。こんなナリだけど、ゲーヲタだから、二人とも安心してね」

「うっせ! アニキが私にこんな趣味吹き込んだんしょ?」

何とも微笑ましい限りである。

しかし、僕も守もひとつだけ気がかりなことがあった。


「えっと、アニキって?」


守は、二人に対してそう尋ねる。

卯月さんは、きょとんとした呆気にとられた表情をした。





「ああ、私、男だから」
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