なにぬねのんびり屋
「あぁ、もう、こっちおいで。」
リビングのソファに座っていた俺は、膝を開いてその間を叩く。
大人しくそこに納まった希美に顔が緩む。
「なんやなんやー?」
「んー?いや、これも背中預けるって言わないかなーって思って。」
背中からギュッと抱きしめると、安心したように体重を傾けてくる。
そんな些細なことに幸せを感じる。
「確かに、背中を預けてますねー。あのセリフって、お前のこと信頼してるぞって意味なんだね、きっと。」
「背中なんて無防備なところ、信頼できない人に預けられないもんな。」
「へへ オレの背中は預けるぜ!」
「はいはい。任せてください。」
こっちは一生預けてもらう気でいるから、今更言わなくてもそのつもりなんだけどね。
「でもやっぱり実際に囲まれて…」
「それはいいでしょもう?!一度は言いたいセリフ言えたからいいじゃん!」
「緊張感が足りない!」
「そこはリアリティ求めないの!」
END