遠距離恋愛
―・・・
「―なんだって!理伊ちゃんすっごく細くて美人なのに、びっくりした」
『へえ。いるんだな、そういう人』
「スタイルがいいのはモデルとかやってるからだと思ってたけど、
元々の体質みたい。太りにくいんだって。羨ましい!」
夜、寝る前の電話はすっかり日課になっている。
どちらかが「おやすみ」を言うまで毎日の事を報告し合い、
朝は先に起きた方が「おはよう」とメールを送る。
その日課のお陰で、遠距離恋愛でも関係は良好だ。
「翔は?今日は何かあった?」
『んー…ああ、泉(いずみ)がさ』
度々出てくる、"泉"という翔の女友達の名前。
「あいつ男みたいだし、普通に友達だよ」と翔は最初に言ってくれたけれど、
やっぱり目に見えないという不安は拭い切れない。
もちろん浮気を疑っているわけではない。
信じてるし、信じてくれていると「信じている」。
『…茉柚?』