炭酸アンチヒーロー番外編
相変わらず居心地悪そうに目を泳がせている彼女に、俺はまた問いかける。



「蓮見、新井田が言ってたのって……」

「う……あの、ね」

「うん」



とうとう観念したらしく、重い口を開いて続けた蓮見の言葉は。

思わず俺が言葉を失ってしまうほど、予想外のものだった。



「えと、あさって辻くん、野球の試合があるでしょう?」

「え、」

「だけど、天気予報で雨が降るかもって言ってたから……だからあの、晴れますように、って」

「………」

「な、何か言ってよぅ」



棒立ちのまま反応がない俺にびびっているのか、彼女は顔を真っ赤にしてもはや半泣き状態だ。


え……ちょっと待て、てるてるぼうずって。

あさって晴れるように、てるてるぼうずって。

俺の野球の試合のために、てるてるぼうずって。



「つ、辻くん……?」

「………」



──ああ、もう!







レイニーデイの恋人
(どうしてくれよう、このかわいい生き物!)




2013/07/13
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