偽善愛で夢を見て。
瞬間、開かれた扉。
慌てた様子の、家族たち。
碧に、翠。
そっか、オバサンたちは旅行だっけ。
私を見て、紅を見て、碧がため息を吐いた。
目に涙が増える。
まだ、零れない。
碧に手を伸ばす。
一歩、下がるのはどうして?
また涙が込み上げる。
それでもまだ、零れない。
今度は翠に手を伸ばす。
抱き締めて。私を。
愛して。
翠は私を見ない。
逸らされた視線。
交わらない、視線。
涙まだ零れない。
でも、そろそろ限界。
3人に手を伸ばす。
冷たい目と、遠ざかる体と、交わされない視線。
涙が、一つ零れた。
一つ、また、一つ。
ゆっくり。
それは落ちる。
そして、シーツに染みて。
私は、諦めた。