偽善愛で夢を見て。



あの時、私が伸ばした手を



掴んでくれなかった。



理由を、聞いた。



「お前が、自分からこっちに来なきゃダメだろうが。


闇の中で誰かと抱き合ったって何も変わらねぇだろ。



自分で歩き出すことが必要だったんだよ。」


俺らだってちゃんと悩んでんだ、アホ。



頭を叩かれるのは、好きじゃない。

碧が私を見る。
一歩、下がってやった。


翠も私を見る。
下を向いて、無視してやった。



つまり、仕返し。




やってやった、とほくそ笑む私の頭をまた、紅がしばいた。

痛いし、馬鹿。
唇を尖らせて文句。




一瞬だった。

唇に暖かい、何か。











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