裏面ワールドトリップ
「あの、もしかして……」


私たちの様子を見たハウスドルフさんの奥さんが口を挟んだ。


「貴女が昨日、うちの主人と?」


「はい。危ない所を助けていただいて……」


「そうでしたか。


こちらこそ、主人がお世話になりました」



彼女もまた丁寧に頭を下げ、それからふと私の顔を見つめて、こう呟いた。


「綺麗な人」


「え……あ、どうも」



ハウスドルフさんの奥さんは、20代半ばくらいだろうか。


小柄で、目の澄んだ可愛らしい人だ。


そして愛する夫がいて、その人の赤ちゃんを生んで

同性の私から見ても「幸せの完成形」みたいな人だと、素直にそう思えるような女性であった。



ローゼさんの治療は、まだ続いている。


黙って手当てを受けるハウスドルフさんと、そんな彼の姿を、我が子を抱きながらあたたかく見守る奥さん

非の打ち所の無い「家族」の光景――
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