裏面ワールドトリップ
「真琴さん、お疲れ様」


ローゼさんが手を動かしながら言った。


古い包帯を取り除いてしまうと、今度は透明な薬液に浸した布で傷口を優しく洗う。


「あ、はい。

それで、お姫様の方の任務も、無事終了しました」



私はバルダクタル城での国王一家とのやり取りを、ローゼさんたちに話して聞かせた。

(お姫様がレニー少尉に恋をしている事だけは、伏せておいてあげた。

けど、もし進展があればみんなの耳にも入るだろう)



「そう……。そうだったの」


ローゼさんが手を止めて、私の顔を見つめた。


「本当にありがとうねぇ。


貴女のお陰よ。

姫様が助かったのも、ディアマントを取り戻せたのも」


そう言って、彼女は深々と頭を下げた。


「いやぁ、そんな……私1人じゃ何も」


ちらりとハウスドルフさんに目を遣る。


彼と視線がぶつかる。
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