裏面ワールドトリップ
2人共、しばらく無言でいた。


私は手入れの行き届いた庭を眺めるともなく眺めつつ、そっとハウスドルフさんの方を見た。


彼が何を考えているのか、その表情からは読み取れない。



「ハウスドルフさん、お仕事は当分お休み?」


沈黙が窮屈に感じられて、私は尋ねてみた。


「あぁ。ローゼの許可が下りるまではな」


「そうですか……お大事に」



そこで再び、会話は途切れてしまった。


どうやってあんな若い奥さんと……などと馴れ初めでも聞こうかと思ったが、大して知りたい事でもなかったのでやっぱりやめた。
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