裏面ワールドトリップ
ローゼさんは小振りのグラスを2つ、木の棚から取り出した。


2人で向かい合ってテーブルに着く。


私がグラスにウイスキーを注ぎ、1つをローゼさんへ渡した。


「ありがとう。

最初に見たときからね、ずっと気になってたのよ。

なんて綺麗な色なんでしょう、きっと美味しい物に違いないわ、って。


……いい香りねぇ」


グラスから立ちのぼる香りを深く吸い込んで、ローゼさんはしみじみと言った。


1口舐め、ストレートな刺激に一瞬、顔をしかめる。


「あ、ローゼさんは水割りとかの方が……」


「いいえ、大丈夫。

初めて見るお酒だったからね、まずはそのまま飲んでみたかったの――


そうだわ」



ローゼさんは棚へ向けて杖を一振りした。


仕舞われていた素焼きの壺の蓋が開き、同じく仕舞われていた木の小鉢にざらざらと中身が移される。


いっぱいになった小鉢が、テーブルの上に飛んで来る。


「こんなの合うんじゃないかしらね」

と言って、ローゼさんはその中から1つをつまんで口に入れた。


薄茶色と乳白色の、丸い木の実のような物だ。
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