年下彼女は嫌いですか?

「ただいまー♪」


にこにこと笑顔で部屋に入って来た弟は随分と機嫌がよろしいようだった。声ばかりか、足取りも踊り出さんばかりに弾んでいて、スキップでもするのかというほどの浮かれっぷりだ


「おかえり、ミナト。やけに機嫌がよさそうだな?」

すると、よく聞いてくれましたとばかりに目を輝かせて語りだした

「ライちゃんと遊んできたんだよ!朝に偶然会って、さっきまで一緒に遊園地行って来たんだ♪」

思い出して、あれが美味しかったとかあれが可愛かったとか言う弟に冷静に待ったをかける

「待て待て、今日は平日だろう。お前はともかく、ライちゃんは学校だったはずだろう。」

「1日くらい休んでも大丈夫だって!それに、元気ないみたいだったしさ。なんかほっとけなくて」

元気がない、というのは、もしかしなくても昨日のことだろう
当たり前だ。あんなショックなことをすぐに吹っ切れる訳がないだろう。

「なに、兄貴?もしかして何か知ってる?」

黙りこんだことを不審に思ったのか、窺うようにミナトが尋ねる
だがこういう問題は、本人以外が軽々しく人に言ってはいけないだろう


「いや、何も知らないが。それよりもう飯は出来てる、待ってたんだからさっさと食うぞ」

「ふーん…。悪かったな、よしっ、早く食べようぜ!」

一瞬何か思案したように目を伏せたが、すぐにいつもの笑みを浮かべると、さっさと部屋に荷物を置きに行った


ライは大丈夫だろうか。なんて心配しても、自分になにが出来るのかと考えると、何も浮かばない
せめて、今日ミナトと遊んで来たというのなら、少しでも心の傷が癒えたことを祈るばかりだ



階段を降りてくる足音に意識を内側から戻すと、キッチンへ足を向けた


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