不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 「止めようよ、そんな話。お酒が不味くなる」
あっけらかんと麻衣が言う。


「あらいいの? 確か麻衣って原っぱの彼女じゃなかったっけ?」


「変なこと言わないで、彼が気を悪くするわ。もしかしたらあんた達ね。デタラメな噂流したのは?」


「デタラメねぇ」
そう言った女性は笑っているようにも思えた。


『実は俺の彼女、原田の恋人だったらしいんだ。何だか気になってさ。だから君達が何か知っているのかなと思ってさ』
一週間前此処でそう言ってた麻衣の彼氏。
噂の出所はやはり彼女達の誰かなんだろうか?




 でも俺は知っている。
ボンドー原っぱの彼女が誰なのかと言うことを。
それは麻衣と名乗る女性だった。


(――あれっ、本当にそうなのか?

――携帯の写真は隠し撮りだったっけ?

――そうだ、ボンドー原っぱの言葉を鵜呑みにしただけかも知れない?)


俺は急に意気消沈した。




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