不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 幾ら花で飾られても柩の中のみずほが痛々しい。
今にも起き上がってきて何か言いたそうだった。
いや……
それは願望だった。


『瑞穂……まだ私は死んでなんかいないよ』

せめてそう言ってほしかった。
でも身動き一つしないみずほ。

俺はそんなことばかり想像していた。
ただ、みずほの死を受け入れたくなかっただけなのかもしれない。


俺はみずほの見える小窓越しに唇を近付けた。

遺体に取りすがり、キスの雨を降らしたかった。
でも釘付けされた柩はもう二度と開くことが出来ないのだ。


虚しさだけが心の隅々まで広がっていった。




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