不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 火葬場の扉の前に俺はいた。
柩に入ったらみずほの体がゆっくりと送られた後、係員がドアを施錠する。

そしてボタンを押した。


(みずほ……みずほ……みずほ!!)
俺は心の中で恋しい人の名前を呼んだ。


ずっと此処に居たかった。

みずほの傍を離れたくなかった。


でも追い出されて、その後で待合室とでも言える和室に案内された。

其処には食事が用意されていた。

でも……
俺はどうにも、喉を通りそうもない。


俺は一人席を外した。

その後をそっと追って来た人がいる。
それは、みずほの母親・岩城静江だった。


「家族席じゃなくてごめんなさい……」
岩城静枝は俺に謝りに来たのだ。

俺はただ首を振った。




 長い菜箸のような箸で、みずほの遺骨は小さな骨壺に詰めれていく。
さっきまですすり泣いていたクラスメートの姿は其処には無かった。


(――幾ら親族だけで見送りたいと言われても、普通誰か残るもんだろ)

俺は何時しか、みずほを殺した犯人はクラスメートだと思い始めていた。




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