不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 みずほの死が現実化する。


でも信じたくなかった!


信じられなかった!

俺を置いて……
みずほが逝く筈がない!!

そう思い、そう願った。


でもそのテープの先に、倒れていた人が居た。


(――みずほ!?

――違う!
みずほの筈がない!!

――どうか違っていてほしい!!!!)

不謹慎だと知りながらも、俺はみずほでは無いことを願い続けていた。




 みずほは校庭の隅にある花壇の傍で、頭から血を流して死んでいた。

一目見ただけでそれなりの予想は付く。


(――自殺?

――そう思うのは当然か?)

でも俺は頭を振った。


(――違う違う!

――そんなの有り得ない!)


俺はこの状況を目の当たりにしても、まだ自殺だとは信じられなかったのだ。


(――みずほが何で死ななきゃならないんだ。

――この間のテストだって、クラスで一番だったのに)




 「瑞穂(みずほ)君……」

意気消沈している俺に声を掛けてきた人がいた。

みずほの母親・岩城静江(しずえ)だった。

此処では一番会いたくない人だった。
みずほの死が未だ信じられない俺の心臓めがけて矢を放つ。

認めろと言われているようなものだったから。


どうやら、学校からの呼び出しで駆け付けてきたらしい。


「みずほが……みずほが自殺だなんて……。衝動的だから、遺言もないそうなの。だから、何が何だか判らない……」


余りのショックで気が動転しているのか、為す術もなく呆然としていた。

それは俺も同じだった。

一体何が起きているのかさえ知らされないまま……
呆然と聞き流していたんだ、大切な言葉を。


俺達はただガタガタ体を震わせながら、ことの成り行きを見守るしかなかった。




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