不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 報道陣の車もあった。

一目でそれと解った。

中に人が居る事を気付かせないためなのだろう。

しっかりと目張りがしてあった。


(――やはりみずほは?)

呆然としていて、悪い方ばかりに考えが向く。


(――お願いだーー!!

――誰かみずほの居場所を教えてくれーー!!)
その時、さっきの車両が頭に浮かんだ。


(――そうだ……
スタッフに聞けば何かが解るかも知れない)

そう思い近付いた。

でも、傍には誰も居なかった。


黒いガラスに写る俺の顔は、何者かに取り憑かれたかのように、青白かった。




 まず人ごみを探す。

誰かが居たらすぐ其処へ向かう。

そうすれば近づく。
安易な考えだけどそれしかなかった。


そしてやっと……それらしい場所に出くわした。


でも……前が見えない。

どうなっているのかも解らない。


とりあえず人ごみをかき分ける。

その向こうに、生きているみずほが居ることだけを信じて。




 その場所には既に立ち入り禁止の黄色のテープが張り巡らせていた。

その周りには取り巻きや野次馬がベッタリと貼り付いていた。


その中に報道陣も居た。


(――みずほは生きている。

――そう言ってくれー!!)

俺はそれだけを祈った。


(――でも……
これで真相が解る)

そうも思っていた。


そんな期待したのも束の間。


皆、口々に
《自殺》
と言い出した。


《岩城みずほさんが飛び降り自殺した》
と――。




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