○○地獄
翌日から、デンファレ女王と家来の押し問答が始まりました。

デンファレ女王は、
「なぜ、道化の首をはねる事が私の威厳にかかわるのだ!あんなもの、この世に必要あるまい!」
と、意見を変えません。

それに対して家来は、
「デンファレ女王。各国の王は、道化を余興としています。城に飼っている王もいるのです!デンファレ女王が、道化の首をはねた事が各国に知れれば、デンファレ女王の威厳に関わります」
と、道化を許すよう促します。

道化は、笑いの象徴であり、差別や軽蔑の象徴でもあります。
しかし、各国の王は、そんな道化を城に招き入れ褒美をとらせます。
自分の、器の広さを見せ付けるためにです。
そんな中、デンファレ女王が道化を殺したと知れれば確実に評判が下がってしまいます。
女王の評判は、国の評判でもあります。
家来は、国のために必死で女王に説得を試みているのです。

「デンファレ女王。どうか、あの道化師にご慈悲を。デンファレ女王、そして国のために!」

「わからんな。たかが、道化一匹を殺した所で何が変わる。もう、この話しは終わりだ」

デンファレ女王は、面倒くさい様子で話しを切り上げました。
家来も、半ば諦める始めていました。


一方の道化師は、地下の牢で泣いていました。
段々と、自分の置かれている状況を理解してきたからです。
デンファレ女王は、わがままで有名です。
その女王を、怒らせてしまい死刑を言い渡されたのです。
助かる見込みなど無い、と道化師は理解したのです。

「なぜ、こんな事に…!」
道化師は、心の底から悔やみました。

「女王への謁見を断られた時に、やめておけば!」

考えれば考えるほど、後悔ばかりが浮かんでくるのです。

「この地獄から助かったなら奇跡だ。神に感謝するのに…」

道化師は、神に祈るしかありませんでした。

「どうか、この地獄から出して下さい」

道化師は、祈り続けました。
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