say my name -キミノ スキナ ヒト-




「美雨へ…



まずは、なにも言わずに
いなくなったことを謝罪する。


太一にも、美雨にも
悪いことをしたと思ってる。









幼い俺たちでは
育てきれなかった太一を、

美雨や美雨の両親が
一生懸命愛情を注いで
くれたことを本当に感謝してる。









俺は、太一に愛情を
与えることができずに
姿を消してしまった。



太一も幼いから、
俺の存在を忘れていくだろう。





実の親を知らない
見苦しさは俺もよく知ってる。



だから、美雨は
俺じゃないやつと結婚して

そいつと一緒に、
太一に精一杯の愛をあげてくれ。







もっと大人になったら
俺たちが再会する日が
くるかもしれない。




その時、美雨が太一と夫と
幸せな家庭を作り上げて
いることを期待してるよ。










俺では、太一のパパに
なりきれない。





俺には、医者になって
義理の親父の後を
継がなくちゃいけない
約束がある。




結婚相手も選べない。









だから、俺は自分の
幸せを手放すよ。





いつか、親父から解放された時

俺も素敵な女性に
出会えることを
心待ちにしているよ。





お互い、前を向こう。







次に会う時は、それぞれ
違う相手と幸せになってよう。


















美雨。



太一。








君たちの幸せを、
遠くから願っているよ。










………××××年、××月××日


……白坂 伊月。」









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