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入ったスタッフルームは、壁際にロッカーが並び、長テーブルとパイプ椅子が置かれただけの質素な部屋。
その中でどこにどう居ていいかもわからず立ち尽くしていると、しばらくしてコンコンとドアがノックされた。
「茜ちゃん、入って平気?」
「……うん、」
なんとかあの場を乗り切ったのか、ハルさんはスタッフルームに顔を覗かせる。
「あの人たちは……?」
「何とか落ち着いてくれた。向こうからけしかけたようなところもあるし、今日はとりあえず帰って行ったよ」
「……ごめん、なさい」
「まさか水かけちゃうとはね。ビックリしたー」
彼は怒るでもなく、あははと笑顔を見せる。いつも穏やかな人だとは思うけれど、こういう時でも心の広い人だと思う。
「けど、これで洸くんが言ってたことの意味がわかったかも」
「え?」
洸ちゃんが言ってたことの、意味?
「『ああいう時は出てくるな』って、こういうことが起こらない為にじゃないかな」
「……」