orders!
洸ちゃんは昔から、無口なうえに話すと口は悪いし愛想のある方ではなかった。
けど、私がワガママを言っても最後にはいつも『仕方ねえな』って頷いてくれた。
『一緒に帰ろう』ってせがんで、一緒に歩いた帰り道。
いつからだろう、それすら叶わなくなったのは。
……あの日から、だ。
ふと思い出すのは記憶の奥底に沈めた、あの日のこと。それは、中学3年生の頃の出来事ー……
「先生。もう終わり?」
「わっ、柳町くん」
そうぼんやりとしていると突然声をかけたのは、大学受験対策のコースに通っている男子高校生・柳町くん。
近所の高校の制服である、紺のブレザーを着た彼は、ニコニコとした笑顔で私の肩にポンッと手を置く。