ストロベリーショートケーキ
じゃあさ、と、彼女はダメ押しの質問をする。



「父親が、ヤミ金のトップっていうのは?」

「……金融機関は金融機関だけど、花井くんのお父さんが勤めてるのは普通の銀行だよ。駅前にある、大和銀行だって」

「えっ、大和銀行の駅前支店?! そこなら、うちのお母さんがパートで働いてるよ!」



笑花のせりふに、今度はあたしが驚く番だ。



「え、そうなの?」

「うん。たしかあそこで『花井』っていったら、支店長さんじゃん。……なんであんな物腰やわらかくて穏和な人から、あの息子が……」

「あ……あはは……」



心底不思議だ、と言わんばかりの彼女の呟きに対し、花井くんには失礼だけど苦笑しか返せない。

そして笑花もまた、呆れというか苦笑いというか、なんとも微妙な表情を浮かべた。



「……なんかトーコの話聞いてると、花井くんってただのヘタレみたいじゃん」

「………」



いや、うん。みんなのウワサする『不良』とはかけ離れた人っていうのは、否定しないんだけどさ。

……でも。
< 26 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop