ストロベリーショートケーキ
そうしてそれまでひたすら学区内を歩いていた花井くんが、ピタリと足を止めた。

考えに没頭していたあたしはすぐその動きに反応できず、「ぶっ」と間抜けな声をもらして彼の背中に顔面から激突してしまう。

あ、あたししんだ。お父さんお母さん、燈子は今、17年の生涯に幕を閉じようとしています。今までありがとう。


なんて、恐怖のあまり謝罪の言葉も出せず、冷や汗をかきながら悟りを開きかけるあたしの目の前で、くるりと花井くんがこちらを振り向く。

その無表情なカオからは、何を考えているかなんて読み取れなくて。

……けどあれ? なんか、花井くんからいい匂いするなぁ……。

なんだろう。あまくて、すごくいい匂い……。



「悪い佐倉、突然こんな体育館裏なんかに連れてきて」



てかこの人改めて間近で見ると目付き悪ッ!! 背ぇ高ッ!! 声低ッ!!

なんなのその髪の毛、真っ黒ではあるけど立ち具合がまるでライオンだわ!!
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