初恋はユーレイ君と!?
☆拓也side★
まじで勘弁してくれよ。
「ごめん、待った?」
走ってきた結香ちゃんは、
(いつもだけど)俺の胸を熱くさせる。
………………か、可愛い……。
可愛いでは収まりきれないくらい、可愛い。
ああ、俺キモイ。
「あ、あぁ、いや、俺も今さっき来たとこ」
実は、一時間前からここで待っていた。
でも、そんなこと言ったらキモイからやめとく。
言ったら結香ちゃんは謝ってくるだろうし。
「じゃぁ……行こっか。」
俺はデート前から決めていたことを、
実践した。
結香ちゃんと手を繋ぐこと。
成功はした。
小さい手に俺の中の何かが騒ぐ。
それは、嬉しさじゃなく、
………………虚しさだった。
それが何かは分からない。でも、
「ごめん、俺今日おかしいんだ」
嬉しいはずなのに、虚しい。
それは彼女の、俺に対する悲しそうな表情が原因だろう。