きみと泳ぐ、夏色の明日


それから朝のチャイムが鳴って担任が教壇の前に立った。

出席番号順に点呼をとってゴホンと咳払いをしたところで、担任がみんなに話しかける。


「えっと、夏休みまであと2週間をきったわけだけど今週の土曜日に大きなイベントがあります。それはなんでしょう?」

何故かいきなりのクイズ形式。

クラスメイトたちは「えーなに?」とざわついていたけど、私はお昼ご飯は冷たいうどんが食べたいな……なんて、ぼーっと窓の外を見ていた。


「土曜日は水泳の関東大会があります。うちのクラスの須賀がそこに出ることは勿論みんな知ってると思うんだけど」


……関東大会か。

そういえばスケジュールが変更になって私がその紙を水泳部に届けたこともあったっけ。


名前を出されているのに本人は爆睡中。

大会前で練習がきついのは分かるけど、本当に協調性がないっていうか……たまにはホームルームに参加しようって思わないのかな。


「学校代表でうちのクラスで応援に行くことになりました」

……え?

今ものすごくイヤな言葉が聞こえてきたんだけど、気のせい?


「身内の不幸ややむを得ない場合以外は全員参加だからな!」と担任はすでに意気込んでいる。

みんな「えー!」と叫んでいたけど、それはむしろ否定的な感じじゃなくて逆にテンションが上がっていた。


「先生、私服ですか?場所は?昼めしは?」

「まあまあ、落ち着け。詳しいことはまた後で話すから」


担任がそう言うとタイミング良くチャイムが鳴って、とりあえず朝のホームルームは終わった。


頭が痛い。精神的に。

全員参加って……嘘でしょ。

私はずっとやむを得ない理由を探したけれど、もちろん見つからない。


「須賀!みんなで応援しにいくから頑張ってね!」

早くもクラスメイトたちは盛り上がっていて、須賀の周りには人だかり。須賀はイヤホンを外して「んー」と呑気な返事をしているけど。

ああ、どうしよう。行きたくないな……。

< 67 / 164 >

この作品をシェア

pagetop