後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
 ダーシーとエリーシャは、低いテーブルを間に挟んで座っている。そこにアイラたちが茶器と茶菓子を並べ終えると、エリーシャはアイラ以外の侍女たちには下がるように命じた。

「さてと、真面目な話をしましょうか」

 表情をがらりと変えて、エリーシャは薫り高いお茶の注がれたカップを手に取る。それから、壁際に控えているアイラにも立ったままではなくクッションを使って座るようにと合図した。
 
 皇女宮にいる時と違って、お茶の相手まではできないが、アイラはありがたくエリーシャの言いつけに従って壁際に腰を下ろす。

「明日から、あなたには魔術研究所に入ってもらうわ。とにかくセシリーの影響下にあった間の記憶をできるだけ掘り起こしたいの。ベリンダが協力するから」
「かしこまりました、エリーシャ様」
「それと、あなたの屋敷に仕えていた人たちだけど――遺体になって発見された人たちは実験台だったようね」
「……でしょうな」
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