本気で大好きでした。


「ココだよ」

「はーい、おじゃましまぁす」


那緒がドアを開けた。

久しぶりに見るお母さんの部屋。


パソコンと赤いソファーと小さなテーブル。

そして、お父さんとケンカしたとき用の布団。


「この赤いソファーかわいい。このまま置いといていいかな」

「どうぞご自由に」


結局布団以外はこのまま置いておくことになり、布団も洗ってお客さん用に布団になった。

赤いソファーでくつろいでいる那緒を置いて、隣の自分の部屋に戻った。

……彼方に電話をかけるために。


『もしもーし』

「あっ、理緒です…」

『うん、知ってるよ。迎えに来いと?』

「ううん、違うの。 あのね、お父さんと那緒と一緒に暮らすことになったの」

『そっか。理緒は大丈夫か?』

「うん、大丈夫だよ。またちょっと泣いちゃったけどね」

『しばらくはすごく辛いと思うけど、なんかあったらすぐ連絡しろよ』

「うん。本当にありがとう、彼方。」

『時間あるんだったら、山野にも連絡してやれよ?』

「もちろん。けどやっぱり彼方に1番先に言ったほうがいいかなって思ってね」

『そっか』

「じゃあ、そろそろ行くから切るね。ありがとね、彼方」

『気にすんな、またな』


ごめんね、彼方。

そしてありがとう。

実はさっきから気づいてたの

病院にいたんだよね?


それに入院してるのは、彼女だ──────

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