本気で大好きでした。


「おっ、早かったな」

「言われた時間ピッタシってところだよ?」

「そうだっけ?」

「しっかりしてよね、お父さん」


「あれぇ」と少し笑いながら頭を掻いているお父さん。

お父さんも気が動転してるんだ…。

そりゃあそうだよね、一番にお母さんを愛していたんだから。




仮通夜、本通夜、そしてお母さんとの最期のお別れ。


家にはお母さんのお骨と仏壇がやってきた。

見慣れないもの、慣れない匂い。慣れたくもないもの。


すごく落ち着かなかった。

気持ちが不安になるばかりで、またタバコを買っては吸っていた。

……彼方に罪悪感を持ちながら。


彼方とは、あの彼女といたときの電話から全く連絡を取っていない。

何度かメールが来たりしたけど、すべてスルーした。


また連絡を取り合ってしまったら、気持ちが揺らいでしまいそうだったから。


彼方…、ごめんね。わがままばかりで迷惑かけてしまって。



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