本気で大好きでした。


「なんか、空気わるくしちゃってごめんな…」

「陽太のせいじゃねーよ。今日はお開きってことで、解散すっか」


入学式とカラオケの約2時間。
ほとんど彼方の隣にいたけど、ここまで悲しげな顔をしているのは初めて見た。

あたし、彼方に幻滅されたかも。



「じゃあ、また明日。学校でね」


お会計も終えて、彼方と陽太とばいばいして

美桜とふたりになった帰り道。


「なんか、彼方くん怒ってたよね?」

「やっぱり美桜もそう思う!?あたし嫌われたかな…」

「ちょっとびっくりしただけじゃないかなぁ」

「そうだといいけど。美桜、あたしがタバコ吸ってるって知ったとき、何も言わなかったよね」

「だって、理緒が自分の意思で吸ってるんだから、あたしは何も言わないよ」


「さすがに麻薬とかだったら、止めるから」ってそうやわらかく笑う美桜。
ああ、一生失っちゃいけない存在だなって。


「そうだ、理緒」

「んー?」

「うち、泊まる?」

「行きマス」


そうだ。
レオが来るんだ。

美桜、ありがとう。
本当にありがとう。心からそう思う。
口に出すのはなんか照れくさいけど…


「美桜、ありがとね」

「なーに?いきなりっ」


そういって、またやわらかく笑った。

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